1.
千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす。
五輪書
2.
何時にても、役にたつやうに稽古し、万事に至り、役にたつやうにをしゆる事、是兵法の実の道也。
いつでも実戦の役に立つように稽古し、あらゆることについて役に立つように教えること。これこそが兵法の真の道である。稽古のための稽古ではなく、あくまで実戦に役に立つ稽古を訴えている。
五輪書
3.
剣術一ぺんの利までにては、剣術もしりがたし。
剣術にしか役に立たないようでは、剣術すら知ることは出来ない。
五輪書
4.
兵法の道において、心の持ちやうは、常の心に替る事なかれ。
兵法の道において心の持ちようは、平常心と変わってはいけない。
五輪書
5.
いづれも先の事、兵法の智力を以て、必ず勝つ事を得る心、能々鍛錬あるべし。
どのような場合でも先手というものは、兵法の智力によって、必ず勝つということ。よくよく鍛錬しないといけない。
五輪書
6.
剣術実の道になつて、敵とたたかひ勝つ事、此法聊か替る事有るべからず。
剣術の正しい道は、敵と戦って勝つことであり、これは絶対に変わらないこと。
五輪書
7.
物毎に勝つといふ事、道理なくしては勝つ事あたはず。
戦いに勝つということは、正しい道理なしには勝つことは出来ない。
五輪書
8.
兵法勝負の道においては、何事も先手先手と心懸くる事也。かまゆるという心は、先手を待つ心也。
兵法勝負の道では、何事も先手を心がけること。構えることは、先手を待っている心の状態になる。
五輪書
9.
ある所をしりてなき所をしる、是則ち空也。
ものが有る所を知って初めて、無い所を知ることが出来る。これがすなわち空である。
五輪書
10.
道具にはそれぞれの良さがある
五輪書
11.
兵法二天一流の心、水を本として、利方の法をおこなふ
わが二天一流の根本は、水の心を手本として、勝利の道を見出していく
五輪書
12.
我、神仏を尊びて、神仏を頼らず。
五輪書
13.
目の付け方は、大きく広く付ける目である。
「観・見」二つの目があり、「観の目」を強く、「見の目」を弱く、遠い所を近いように見、近い所を遠いように見ることが兵法では必要不可欠である
五輪書
14.
空(くう)は道。道は空。空には善があり、悪はない。智恵があり、理があり、道があり…人の心は空となる。
五輪書
15.
他流を知ってこそ、自分流が確立できる
五輪書
16.
刀の振り方、身のこなし方など、細かいテクニックのほかに、もっと大切なものがある
五輪書
17.
速ければいいというものではない。そもそも「速い」とは、ものごとのタイミングが合っていないから「速い」といえる。
達人がすることは、タイミングが合っている。だから、むやみに速くは見えない
五輪書
18.
世の難所を越すのは、優秀な航海士が海を渡るようなもの。難所を乗り切れば、水平線が開ける。
船の旅で大切なのは、海の難所をよく知ること。船についてよく知ること。とりまく天候をよく知ること
五輪書
19.
不意をつくと、相手はとっさに反応しようとして刀を動かす。刀の動きには本心があらわれる。
五輪書
20.
一瞬のうちに、心も身体も準備をととのえ、自分でも気が付かないほど自然に、渾身の一撃を繰り出す…これが無念無相。
五輪書
21.
刀を構えるとき…構えるつもりで構えてはいけない。斬るつもりで、構える。
五輪書