1
恥の多い生涯を送って来ました。 自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。
太宰治「人間失格」
2.
人間、失格。 もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。
太宰治「人間失格」
3.
(それは世間が、ゆるさない) (世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)
太宰治「人間失格」
4.
人間の心には、もっとわけのわからない、おそろしいものがある
太宰治「人間失格」
5.
いまは自分には、幸福も不幸もありません。 ただ、一さいは過ぎて行きます。
太宰治「人間失格」
6.
あまりに人間を恐怖している人たちは、かえって、もっともっと、おそろしい妖怪を確実にこの眼で見たいと願望するに到る心理。
太宰治「人間失格」
7.
ああ、人間は、お互い何も相手をわからない、まるっきり間違って見ていながら、無二の親友のつもりでいて、一生、それに気附かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。
太宰治「人間失格」
8.
僕は、女のいないところに行くんだ
太宰治「人間失格」
9.
人間は、こぶしを固く握りながら笑えるものでは無いのである
太宰治「人間失格」
10.
世間というものは、個人ではなかろうかと思いはじめてから、自分は、いままでよりは多少、自分の意志で動く事が出来るようになりました。
太宰治「人間失格」
11.
自分は、自分を生れた時からの日蔭者のような気がしていて、世間から、あれは日蔭者だと指差されている程のひとと逢うと、自分は、必ず、優しい心になるのです。そうして、その自分の「優しい心」は、自身でうっとりするくらい優しい心でした。
太宰治「人間失格」
12.
世の中の人間の「実生活」というものを恐怖しながら、毎夜の不眠の地獄で呻(うめ)いているよりは、いっそ牢屋のほうが、楽かも知れない
太宰治「人間失格」
13.
死にたい、死ななければならぬ、生きているのが罪の種なのだ。
太宰治「人間失格」
14.
人間は決して人間に服従しない、奴隷でさえ奴隷らしい卑屈なシッペがえしをするものだ、だから、人間にはその場の一本勝負にたよる他、生き伸びる工夫がつかぬのだ
太宰治「人間失格」
15.
人にものを頼むのに、まず、その人を笑わせるのが上策
太宰治「人間失格」
16.
神経質な、ものにおびえ易い人ほど、暴風雨の更に強からん事を祈る心理
太宰治「人間失格」
17.
美しいと感じたものを、そのまま美しく表現しようと努力する甘さ、おろかしさ。
太宰治「人間失格」
18.
人間への不信は、必ずしもすぐに宗教の道に通じているとは限らない。
太宰治「人間失格」
19.
女性というものは、休んでからの事と、朝、起きてからの事との間に、一つの、塵ちりほどの、つながりをも持たせず、完全の忘却の如く、見事に二つの世界を切断させて生きている。
太宰治「人間失格」
20.
微弱ながら恋の心の動くのを自覚しました
太宰治「人間失格」
21.
神に問う。信頼は罪なりや。
太宰治「人間失格」