1.
常に自身の未熟さを忘れず、稽古を怠ってはならない。
初心忘るべからず
世阿弥
2.
ライバルの勢いが強くて押されているな、と思う時には、小さな勝負ではあまり力をいれず、そんなところでは負けても気にすることなく、大きな勝負に備えよ。
男時・女時
世阿弥
3.
美しい花を咲かせ続けるには、停滞することなく、変化し続けなければならない。
住する所なきをまず花と知るべし
世阿弥
4.
観客の視点で自分を見て、初めて自分の姿を見ることができる。
離見の見にて見るところはすなわち、見所同心の見なり
世阿弥
5.
若い時の美しさはほんの一瞬だけのもの。それを自分の魅力だと思っていると本当の自分の魅力に辿りつけない。
時分の花をまことの花と知る心が真実の花になお遠ざかる心なり
世阿弥
6.
一流の能の役者は、誰からも愛されなければいけない
衆人愛敬
世阿弥
7.
「体」(たい)と「用」(ゆう)の二つのレベルがある。「体」とは「花」のようなもので、「用」とは「匂い」のようなものだと。能を知らない者は「用」を真似ようとするが、それは真似しようにもできないものである。
世阿弥
8.
せぬところが面白い
世阿弥
9.
入門時から現在の老成期まで芸人は、その一生を自分の中に貯え、芸として表現しなくてはならない
年々去来の花を忘るべからず
世阿弥
10.
稽古には徹底して強くあるべきで、慢心のための強情・頑固があってはならない。
稽古は強かれ、情識(じょうしき)はなかれ
世阿弥
11.
上手は下手の手本 下手は上手の手本
世阿弥
12.
家はただ続くから家なのではない。継ぐべきものがあるから家なのだ。人もそこに生まれただけでそこの人とは言えない。その家が守るべきものを知る人だけが、その家の人と言えるのだ
家、家にあらず、継ぐを以て家とす。人、人にあらず、知るを以て人とす
世阿弥
13.
よいものとは常に千変万化する
住たるなきをまず花と知るべし
世阿弥
14.
旬の美しさを本物の美しさと思っていると、本物の美しさは遠ざかってゆく
時分の花をまことの花と知る心が真実の花になお遠ざかる心なり
世阿弥
15.
なおも舞うをやめず
世阿弥
16.
役者が成長するとは、〈見物衆の気色(けしき)〉との兼ね合いの中で、自己の進むべき道・採るべきやり方を──あるいは、進むべきでない道・採るべきでないやり方を──見出してゆくことである。
世阿弥
17.
何かを外から〈付け加え〉たり、新たなものを〈積み重ね〉たりする必要はない。〈成長〉の種は、当人の内に既にある。
世阿弥
18.
物事の良し悪しは、その時に有用なものを良しとし、無益なものを悪しとする
時に用ゆるをもて花と知るべし
世阿弥
19.
稽古も舞台も、厳しい態度でつとめ、決して傲慢になってはいけない。
稽古は強かれ、情識はなかれ
世阿弥
20.
良いとされてきたことに安住すると、それがむしろ悪い結果になってしまうことに用心せよ
よき劫の住して、悪き劫になる所を用心すべし
世阿弥
21.
命には終りあり、能には果てあるべからず
世阿弥