1.
善き事を思うだけでは善きことをしたことにはならないが、悪しき事を思うことは悪しき事をしたと同罪である。
長谷川如是閑
2.
男子は結婚によって女子の賢さを知り、女子は結婚によって男子の愚を知る。
長谷川如是閑
3.
自分がして欲しいことを相手にしてあげなさい。これがキリスト教の道徳。自分がされたくないことを相手にしてはいけない。これが儒教の道徳。
長谷川如是閑
4.
自分を偽ってまで生きることは死よりも意義がない。自分を貫いた末の死は生よりも意義がある。
長谷川如是閑
5.
食を絶ちて殺すは野蛮なり、食を滅じて殺すは文明なり。
長谷川如是閑
6.
煩悶せざる青年は、人生初期において足らざる所あり。
長谷川如是閑
7.
生命は刹那の事実なり、死は永劫の事実なり。
長谷川如是閑
8.
女子の涙は勝利の涙なり。男子の涙は降伏の涙なり。
長谷川如是閑
9.
酒に薬用の名あり、酔を買うべき名義に窮するものは愚なり。
長谷川如是閑
10.
囚人は前科を誇り、宗教家は懺悔を誇る。
長谷川如是閑
11.
少女の恋は詩なり。年増の恋は哲学なり。
長谷川如是閑
12.
初恋は麻疹（はしか）の如し。何人も一度は免れずして経験し難し。
長谷川如是閑
13.
聖人の死は自己の復活なり。豪傑の死は他人の復活なり。
長谷川如是閑
14.
女性が英雄を好むのは、英雄に征服されようとしているのではない、英雄を征服しようとしているのだ。
長谷川如是閑
15.
男子は、一個の女性を礼賛するのにその全生命を以てするが、全体の女性を礼賛するには舌のみを以てする。
長谷川如是閑
16.
男子は羽織より売り始め、フンドシに至りて窮まり、女は肉より売り始め、羽織に至りて窮まる。
長谷川如是閑
17.
女子は月経に支配せられ、男子は月給に支配せられる。
長谷川如是閑
18.
己れを喪へる生は死よりも意義なし、己れを喪はざる死は生よりも意義あり。
長谷川如是閑
19.
女の秘密はヴェールのようなものだ。なにかを隠すのではなく、美しく見せるためだ。
長谷川如是閑
20.
戦争の前は憤怒なり、戦争の中は悲惨なり、戦争の後は滑稽なり。
長谷川如是閑
21.
生きて孤独なるものは不幸なり、死して孤独なるものは実に不幸なり。
長谷川如是閑
