1.
どんな人間でも、大概一生に一度はその人間に相応した華々しい時期と云うものがある。
谷崎潤一郎
2.
恋愛は芸術である。血と肉とを以て作られる最高の芸術である。
谷崎潤一郎
3.
美は考えるものではない。一見して直に感ずる事の出来る、極めて簡単な手続きのものだ。
谷崎潤一郎
4.
人は健康になろうと思ったら、西洋流に強く明るく、積極的に生きることだ。食物であろうが、色欲であろうが、欲するままに精一杯貪ることだ。
谷崎潤一郎
5.
死ぬということは、生きているよりイヤなことです。けれども、喜んで死ぬことができれば、くだらなく生きているよりは幸福なことです。
谷崎潤一郎
6.
議論を吹っかける場合には、わざと隙間を拵えておくほうが良いんです。そうしないと敵が乗って来ないんです。
谷崎潤一郎
7.
意地の悪い人間は、その意地悪さを発揮する相手がいないと寂しいに違いない
谷崎潤一郎
8.
筋の面白さは、言ひ換えれば物の組み立て方、構造の面白さ、建築的の美しさである。
谷崎潤一郎
9.
我という人の心はただひとり、われより外に知る人はなし。
谷崎潤一郎
10.
たとへ神に見放されても私は私自身を信じる。
谷崎潤一郎
11.
文章のコツ、即ち人に「わからせる」ように書く秘訣は、文字や言葉で表現できることとできないことの限界を知り、その限界内に止まることが第一。
谷崎潤一郎
12.
悲しい時には、桜の花の咲くのを見たって涙が出るんだ。
谷崎潤一郎
13.
世間はただ私の作品をさへ見てくれればよいのであります、それが立派なものなら、私という個人に用はない訳であります。
谷崎潤一郎
14.
物と物のあいだにできる影にこそ、美がある。
谷崎潤一郎
15.
いい宝石は泥土に投げ捨て、火の中へ燻べても固有の輝きを失わない。
谷崎潤一郎
16.
他の一切を放擲して、全然助手を使わずに、自分一人だけでこの仕事に没頭し、殆ど文字通り「源氏に起き、源氏に寝る」という生活を続けた。
谷崎潤一郎
17.
名文とは、長く記憶に留まるような深い印象を与えるもの、何度も繰り返して読めば読むほど滋味のでるもの。
谷崎潤一郎
18.
誰しも「怠け者」と言われて名誉に思う者はないが、年中あくせくと働く者を冷笑し、時には俗物扱いする考えは絶無ではない。
谷崎潤一郎
19.
女の顔は男の憎しみがかかればかかる程美しくなる。
谷崎潤一郎
20.
だれしも離別は悲しいものにきまっている。それは相手が何者であろうとも、離別ということ自身のうちに悲しみがあるのである。
谷崎潤一郎
21.
自分の欲望を制すれば成功し、自分本位では失敗するということ。人間が言葉を使うと同時に、言葉も人間を使うことがある。
谷崎潤一郎