1
せっかちで心が粗雑だと、一つの事さえ成し遂げられない。なごやかで平静だと、多くの幸いが自然に集まる
洪応明「菜根譚」
2.
逆境にあるときは、身の回りのものすべてが良薬となり、節操も行動も、知らぬまに磨かれていく
洪応明「菜根譚」
3.
小人からは、むしろ憎まれたほうがよい
洪応明「菜根譚」
4.
怠け心が生じたときは、自分よりすぐれた人物のことを考えよ
洪応明「菜根譚」
5.
常に喜びの気持をもって暮らすことが、幸福を呼びこむ道である
洪応明「菜根譚」
6.
分に過ぎた幸運は、人生の落とし穴だ
洪応明「菜根譚」
7.
人格が主人で、才能は召使いにすぎない
洪応明「菜根譚」
8.
最も高遠な真理というものは、最も平凡なものの中に宿っており、至難な事柄は最も平易なものの中から出てくる
洪応明「菜根譚」
9.
人が世の中を生きてゆく時には、自分から一歩を ゆずることがよりすぐれた道である。この一歩をゆずることが、それがそのまま一歩を進める根本となるのである
洪応明「菜根譚」
10.
人の過失をとがめる人は、心を動かすごとに、それがすべて自分を傷つける刃物となる
洪応明「菜根譚」
11.
他人に恩恵を施す時には、その恩恵に感謝されることを求めてはいけない。他人に怨まれるようなことをしなかったならば、それがそのまま恩恵である
洪応明「菜根譚」
12.
人目につく所で わざわいを受けないようにしたいと思ったら、まず人目につかない所で罪を犯さないように心がけるべきである
洪応明「菜根譚」
13.
物事が失敗した後には、逆に成功するものである。だから、自分の思い通りにならない時でも、やたらに手を放ち投げ出してはいけない
洪応明「菜根譚」
14.
他人に施した恩は忘れてもいいが、人から施された恩は忘れてはならない
洪応明「菜根譚」
15.
古人の書物を読んでいながら、聖賢の精神にふれなかったならば、それは単なる文字の奴隷であるにすぎない
洪応明「菜根譚」
16.
家庭にある時の戒めとして二語ある。それは『ただ思いやりが深くさえあれば、家族の心はおだやかであり、ただ倹約さえすれば費用は十分に足りる』という二語である
洪応明「菜根譚」
17.
自分の心情の動きというものは、平穏な状態もあり、乱れる状態もある。であるから、どうして他人にだけいつも平穏な状態でいることを望めようか
洪応明「菜根譚」
18.
他に先がけて開いた花は、散るのもまた早い
洪応明「菜根譚」
19.
完全な名誉、立派な節操(せっそう)という評判は、独り占めしてはならない。そのいくらかを他人に譲り与えれば、危害を遠ざけ、身をまっとうすることができる。
不名誉な行為や評価は、それをすべて他人に押しつけてはならない。そのわずかでも自分が引き受ければ、自分の才能をひけらかすことなく人徳を養うことになる
洪応明「菜根譚」
20.
耳にはいつも聞きづらい忠言や諌言を聞き、心にはいつも受け入れがたいことがあって、それではじめて、道徳に進み、行動を正しくするための砥石となるのである。
もし、言葉がすべて耳に心地よく、ことがらがすべて心に快適であれば、それは、この人生を自ら猛毒の中に埋没させてしまうようなものである
洪応明「菜根譚」
21.
肝臓が病むと目が見えなくなり、腎臓が病むと耳が聞こえなくなる。このように、病は他人からは見えないところで始まり、やがては誰でもが見えるところに現れる。
だから、人の上に立つ者は、人前で罪を受けたくないなら、先ずは人から見えないところでも罪を犯さないようにすべきである
洪応明「菜根譚」