1.
日本の病院では、患者の睡眠の意義についてほとんど配慮していない。9時に消灯するといって、みんな寝てるわけではないし、それで5時半には採血なんかで起こされる。寝不足で体を害している患者がいかに多いか
中井久夫
2.
医者が治せる患者は少ない。しかし看護できない患者はいない
中井久夫
3.
精神健康の基準とは、つまり「精神の健康を危うくするようなことに耐えられる力」
中井久夫
4.
だれも病人でありうる、たまたま何かの恵みによっていまは病気でないのだ
中井久夫
5.
正義われにありとか自分こそという気がするときは、一歩下がって考え直す。
中井久夫
6.
薬を1錠飲んでもらうためにも、患者との精神的なつながりを作る努力が必要。薬を安心して飲める状況がないとどんな病気も治りにくい
中井久夫
7.
こころの中で「この人にも私にはみえない何かよいものがある。それがいつか生きるかもしれない」と念じておく。
中井久夫
8.
深刻な葛藤を抱えているときは万事控えめに、また、よく確認しておこなうことである。
中井久夫
9.
「自分」が妙に意識されているときは、よい治療を行っていない
中井久夫
10.
睡眠をはじめとする身体の自然治癒力に助けられ、その上にうまく乗っかる
中井久夫
11.
実感は論理より強い
中井久夫
12.
まなざしには治癒力も人間を解体から守る力もある
中井久夫
13.
病気になる脆さが病気を通りぬけることによって払い落とされる。病気の前に戻すのではなく病気の前よりよくする。
中井久夫
14.
戦いは必ず共倒れに終わる
中井久夫
15.
問題だと思っているものの半分は解かなくてもよく、さらに半分は時間が解決する
中井久夫
16.
やさしさは、押しつけがましくなく相手を包むものであり、求め求められる関係を超えたものであって、求めて得られるものではなく、求められてさずけるものではない。
中井久夫
17.
子どもが何を考えているか親には見えなくなる。透明な稚魚が不透明な成魚に
中井久夫
18.
私たちを内面的にも外面的にも守ってくれるのは「無名性」である
中井久夫
19.
進歩とはなかんずく、邪悪なるものの排除であった
中井久夫
20.
治りかけというのはとても大切な時期です。しかしわれわれは,患者の症状が収まったら急に気を抜きがちではないでしょうか。
患者が回復期に入るか入らないうちに,医療者にはだいたい次の患者が待っているんですね。だから保護室から出てみんなのなかで生活をしはじめた時の患者さんは――このことは忘れられがちなのですが――非常にさびしい
中井久夫
21.
ふつうの医療者が理解し実行もできるような精神医学を私はずっと目指してきた。いくぶんなりとも達成できているだろうか
中井久夫