1.
養生の術は、まず心法をよく慎んで守らなければ行われないものだ。心を静かにして落ちつけ、怒りをおさえて欲を少なくし、いつも楽しんで心配をしない。
これが養生の術であって、心を守る道でもある。心法を守らなければ養生の術は行われないものだ。
養生訓
2.
心を平静にし、気をなごやかにし、言葉を少なくして静をたもつことは、徳を養うとともに身体を養うことにもなる
養生訓
3.
自分の身体は自分だけのものではなく、父母が授けてくれ、自分の子へと残すものであるため、不摂生をして身体を傷めつけることはしてはいけない。
養生訓
4.
欲のままに生活するのではなく、生まれてきたことに感謝をし、日々慎ましやかに楽しく生活することが長生きにつながる
養生訓
5.
畏れるということは、身を守る心構えである。すべてに細心の注意を払い、気ままにしないで、過ちのないようにつとめ、いつも天道を畏れ敬い、天道に慎んでしたがい、人間の欲望を畏れ、慎んで我慢することである。
養生訓
6.
人間には三つの楽しみがある。一つ目は道を行い心得ちがいなく善を楽しむこと。二つ目は病気がなく気持ちよく楽しむこと。三つ目は長生きして久しく楽しむことである。
養生訓
7.
養生の方法は、努めるべきことをよく努め、からだを動かし、気をめぐらすのが良い。
養生訓
8.
食後には必ず数百歩歩いて気をめぐらし、食べたものを消化させるべきで、すぐに眠ってはいけない。
養生訓
9.
多くの人は、一日のうち気を養うことは常に少なく、気をそこなう事が常に多い。養生の道は、元気を養うことだけをつとめて、元気をそこなう事がないようにしなければならない。
養生訓
10.
心は楽しみ、苦しめてはいけない。からだは動かし、休ませ過ぎてはいけない。だいたい自分の体を可愛がり過ぎてはいけない。
養生訓
11.
養生の第一歩は心と気を養うことである。
養生訓
12.
酒はほろ酔い程度がよく、宴たけなわの半ばでやめるのがよい。食事は満腹の半分がよく、腹いっぱい食べてはいけない。酒食とも限度をきめて、節度をこえてはいけない。
養生訓
13.
若いときから性欲を慎み、精気を惜しまなければいけない。精気を多くつかうと、下半身の気が弱くなり、元気の根本が絶えて、かならず命が短くなる。
養生訓
14.
病人は養生の道をかたく守り、病気のことをくよくよ考えてはいけない。くよくよすれば気がふさがり病気が重くなる。
養生訓
15.
病気をいくら心配しても益はない。ひたすら病気を慎むことに益がある。
養生訓
16.
年をとってからあとは、一日を十日として日々楽しむがよい。つねに日を惜しんで、一日も無駄に暮らしていけない。
養生訓
17.
自分が不幸で裕福でなく、他人が自分に対して道理に合わないことをしても、浮世のならいはこうしたものと思い、天命を受け入れ、憂い嘆いてはいけない。つねに楽しんで日を送りなさい。
養生訓
18.
導引というからだの屈伸や摩擦の健康法を毎日行えば、気がめぐり、食物を消化し、腹中に腫れ物を起こさない。
養生訓
19.
人を恨み怒り、からだを憂い嘆いて心を苦しめ、楽しまないで、はかなく年月を過ごすのは惜しいことである。
養生訓
20.
貧しいからといって、人にむさぼり求めたり、不義の人間になって命を惜しんではならない。
養生訓
21.
毎日その日の昼夜の中で、元気を養うことと元気をそこなうことの二つのうち、どちらが多いかを比べてみるのが良い。
養生訓