1.
詩は書くことがいっぱいあるから書くんじゃない。書くこと、感じることなんにもないからこそ書くんだ。
吉本隆明
2.
市井に生まれ、そだち、生活し、老いて死ぬといった生涯をくりかえした無数の人物は、千年に一度しかこの世にあらわれない人物の価値とまったく同じである。
吉本隆明
3.
相手の弱みをにぎったとおもったときが、じつはいちばん隙ができる機会で、危ないときである。
吉本隆明
4.
本当に偉い人は、千年、百年単位の人ではなく、もっと向こう側に無名の領域があって、そこへ行けた人が本当に偉いのだ。
吉本隆明
5.
いいことを照れもせずにいう奴は、みんな疑ったほうがいいぞ。
吉本隆明
6.
この社会に生きることのどこにいいところがあるのか、と言われたら、どこにもないよと言うより仕方がない。
吉本隆明
7.
国家は幻想である。風俗や宗教や法もまた共同の幻想である。
吉本隆明
8.
人は他者によって作られたじぶんに責任を負わなければならない。
吉本隆明
9.
結婚して子供を生み、そして子供に背かれ、老いてくたばって死ぬ、そういう生活者をもしも想定できるならば、そういう生活の仕方をして生涯を終える者が、いちばん価値ある存在なんだ。
吉本隆明
10.
資本主義の制度に欠陥があるってことはですね、多分、百年ぐらい前にはもうわかっていたんだと思っています。
吉本隆明
11.
人は人に捨てられたりなんかしない。自分が自分を捨てることしかできないよ。
吉本隆明
12.
ほんの少しでも国法に触れた者、または国法に触れたと疑われている者を、人でなしの、人間の風上にもおけぬものみたいに取り扱って恥じない。リンチ機械としてのテレビ。
吉本隆明
13.
ひとは、いつも論理自体によってうごかされることはない。ただ未知の領域にあくなき論理によって肉迫しようとする思想にうごかされるのだ。
吉本隆明
14.
ぼくの孤独はほとんど極限に耐えられる。ぼくの肉体はほとんど苛酷に耐えられる。ぼくがたおれたらひとつの直接性がたおれる。もたれあうことをきらった反抗がたおれる。
吉本隆明
15.
激動のときにじぶんがこうかんがえているとできるかぎり率直に公開しよう。それはじぶんの身ひとつで、吹きっさらしのなかに立つような孤独な感じだが、誤謬も何もおそれずに公言しよう。
吉本隆明
16.
人間は自分を圧殺するためにさまざまな負担をつくりだす
吉本隆明
17.
言葉の幹と根は、沈黙である
吉本隆明
18.
阿弥陀の浄土でいう善とか慈悲とか、大きさを信じきれば、現世の人間の間の小さな善、小さな悪とか、人間が自力で行える様々な徳行とか、修行と言ったことはちっぽけで相対的だということです。
吉本隆明
19.
正しそうに見えることば、利口そうに見える考え方、ほめられそうなことば、自分の価値を高めてくれそうな考え方、トクをしそうな考え方、敵を追い落とす為のことば、流行の考え方、仲間はずれにならない為のことば、そういうものばかりが目立って仕方がない。
吉本隆明
20.
そういう生きる価値みたいなものを探すのがおもしろいという人は、それを探せばいいんだし、それよりもっとおもしろいことがあるんだったら、探すのをやめても構わないんじゃないでしょうか。
吉本隆明
21.
人間に対する考え方っていうものによって違いますから清貧の人は、やっぱり人間、働くからいいんだって言うんでしょうけど、僕は、それは嘘だって思ってますね。遊んで暮らせて、やりたいことができてって言うのが、一番いいんですから。
吉本隆明