1.
ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず
鴨長明
2.
他人を世話すると、自分の心は、恩情にしばられて自由でなくなってしまう
鴨長明
3.
そもそも人として友人関係にあるものは、裕福であることを尊び、手厚く親切に扱うことを重んじる。必ずしも人情の厚い人や心がまっすぐな人を大事にするというわけではない。
鴨長明
4.
世間の常識事・慣習に従えば、それにしばられて苦しくなってしまう。従わなければ、まるで気が狂っているかのようにみえてしまう。
鴨長明
5.
ゆく川の流れは絶えることがなく、しかもその水は前に見たもとの水ではない。淀みに浮かぶ泡は、一方で消えたかと思うと一方で浮かび出て、いつまでも同じ形でいる例はない。世の中に存在する人と、その住みかもまた同じだ。
鴨長明
6.
財産があればそれを失う心配が多くなり、貧乏であれば人をうらやむ思いがはなはだしい。
鴨長明
7.
権勢がある者ははなはだ欲がふかく、縁者のいない孤独な人は他人に軽んじられる
鴨長明
8.
つねにはたらくは犠牲なるべし
鴨長明
9.
その家のありさま、世の常にも似ず。広さはわづかに方丈、高さは七尺が内なり。所を思ひ定めざるがゆゑに、地を占めて作らず。
鴨長明
10.
朝に死し、夕に生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来りて、いづかたへか去る。
鴨長明
11.
他人を(酷使して)苦しめるのは、罪深い行いである。
鴨長明
12.
食べ物が乏しい状態なので、粗末ないただきものもおいしくなる
鴨長明
13.
そもそも、三界(欲界・色界・無色界)の迷い多きこの世界は、ただ心の持ち方ひとつでいかようにでもなりうるものである。
鴨長明
14.
世間の人が世俗のわずらわしい雑事、名声や利益にこだわりあくせくするのが気の毒に思った
鴨長明
15.
身、心の苦しみを知れれば、苦しむ時は休めつ、まめなれば、使ふ。いかにいはんや、常に歩き、常に働くは、養性なるべし。
鴨長明
16.
生死の余執ともなるばかり嬉しく侍るなり
鴨長明
17.
恐れの中に恐るべかりけるは、ただ地震なゐなりけりとこそおぼえ侍はべりしか。
鴨長明
18.
人のいとなみ、皆愚おろかなる中に、さしも危あやうき京中きょうじゅうの家を造るとて、宝を費ついやし、心を悩ますことは、すぐれてあぢきなくぞ侍はべる。
鴨長明
19.
よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし
鴨長明
20.
大方人の心は、野の草の風に随ふが如し。
鴨長明
21.
魚は水に飽かず、魚にあらざれば、その心を知らず鳥は林を願う、鳥にあらざれば、その心を知らず。
鴨長明