1.
人って、誰かと接することで作られていく生き物なんだと思います。人と関わりを持つと、次の瞬間、風景が変わって見えるのね。そんなふうに「自分の中の変化を受け入れる」こと。そういうのを「成長」っていうんだと思う。
是枝裕和
2.
空っぽな部分に自分ひとりで何かを入れようとしても、満足感は得られない。なぜなら、自分では同じものしか入れられないからなんです。
是枝裕和
3.
自分で自分を褒められることがあるとするならば、僕は「これは自分の仕事だ」と思ったら、徹底的に頑張ってきた。
是枝裕和
4.
天気ってどうせ思い通りにいかない。曇ったら、曇ったシーンにしちゃえばいい。
是枝裕和
5.
人は心を持たないほうがラクなんですよ。心を持つということは辛いことですから。職場でもどこでも、心を閉ざして表面だけで笑ってるほうが絶対にラク。
でも、そうやって心を閉ざして生きているとつまらないんですよね。それは、自分の中に何にも入ってこないってことだから。
是枝裕和
6.
同調圧力の強い日本では、自分の頭でものを考えるという訓練が積まれていないような気がするんですよね。自分なりの解釈を加えることに対する不安がとても強いので、批評の機能が弱ってしまっている。
是枝裕和
7.
世の中には意味のない勝ちもあれば価値のある負けもある。もちろん価値のある勝ちが誰だっていい。でもこの二つしかないのなら、僕は価値のある負けを選びます。そういう人間もいることを示すのが僕の役割です
是枝裕和
8.
僕が映画を撮ったりテレビに関わったりしているのは、多様な価値観を持った人たちが互いを尊重し合いながら共生していける、豊かで成熟した社会をつくりたいから
是枝裕和
9.
興行のことはわからないことばかりなんです。海外の評価にしても、計算や予想は外れることばかりですので、自分本位に面白がるようにしています。褒められて乗せられる、評価されたいからやる、というのでは自分を見失ってしまいますから
是枝裕和
10.
20年間映像の仕事をしている経験から、僕は自分が物事を考えるために映像を必要としている人間だとは自覚しています
是枝裕和
11.
映画の過去と未来を考えながら、今を捉える。その先の、「未来」はどうあるべきか。それを考えていく責任があると思っています
是枝裕和
12.
耐えられる人は耐えればいい。でも、耐えられない人は無理すべきじゃない
是枝裕和
13.
偉そうなことを言う前に、とりあえずやってみれば
是枝裕和
14.
人って、誰かと接することで作られていく生き物なんだと思います
是枝裕和
15.
制作者は「業界の制約」にぶつかる前に、「自分の中の制約」とぶつかるんです。それとどう向き合うかが先
是枝裕和
16.
いろいろな制約はあるけれど、その制約を通して何ができるか考えることで、自分も育つ。そうしてようやく、個性が見えてくる
是枝裕和
17.
映画のカメラというのは、人を見つめるための道具だと思っているので、その人を尊敬しながら、節度のある距離でどう見つめていくか、見つめるために最適なポジションにカメラを置くことを今は心がけるようにしています。
是枝裕和
18.
ロシア人の記者に『君は気づいてないかもしれないが、君は遺された人々、棄てられた人々を描いている。それが君の本質だ』って言われたことがあります。で、確かにそうだった。ずっと『棄民』の話を撮りたいと思っていたから。すばらしいでしょ
是枝裕和
19.
自分が子供の頃に思い描いていた53歳って、もっと大人だと思っていた。息子として、もっとちゃんと全うしてあげてればよかったなとか、父親ってこの程度で大丈夫なの?という事を含めて、自分がある種、こうありたいと思っていた像とはどれも違うよね
是枝裕和
20.
公開前に、どんな宣伝のデザインにして、どんなスチールカメラマンに入ってもらって、どんな言葉を載せたら面白くなるか、なんてことは割と考える方です。
お客さんは、宣伝を見てから映画に行くのかどうかを決めるのだから、そこまで含めて自分の作品ではないかとも考えています
是枝裕和
21.
ネットにあふれる暴力的な本音より、建前や慮(おもんぱか)ることに“真実”があると思う
是枝裕和