1.
我々はしたいことの出来るものではない。ただ、出来ることをするものである
芥川龍之介
2.
女は常に好人物を夫に持ちたがるものではない。しかし男は好人物を常に友だちに持ちたがるものである
芥川龍之介
3.
人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのはばかばかしい。重大に扱わねば危険である
芥川龍之介
4.
人間は時として、満たされるか満たされないかわからない欲望のために一生を捧げてしまう。その愚を笑う人は、つまるところ、人生に対する路傍の人に過ぎない
芥川龍之介
5.
道徳の与えたる恩恵は時間と労力との節約である。道徳の与えたる損害は完全なる良心の麻痺である
芥川龍之介
6.
天才とは僅かに我々と一歩を隔てたもののことである
芥川龍之介
7.
阿呆はいつも彼以外のものを阿呆であると信じている。
芥川龍之介
8.
我々の生活に必要な思想は、三千年前に尽きたかもしれない。我々は唯古い薪に、新しい炎を加えるだけであろう
芥川龍之介
9.
成すことは必ずしも困難ではない。が、欲することは常に困難である。少なくとも成すに足ることを欲するのは
芥川龍之介
10.
人生の競技場に踏みとどまりたいと思ふものは、創痍を恐れずに闘はなければならぬ
芥川龍之介
11.
自然を愛するのは、自然がわれわれを憎んだり、嫉妬しないためでもない事はない
芥川龍之介
12.
人生は地獄よりも地獄的である
芥川龍之介
13.
創作は常に冒険である。所詮は人力を尽した後、天命にまかせるより仕方はない
芥川龍之介
14.
他を嘲(あざけ)るものは同時にまた他に嘲られることを恐れるものである
芥川龍之介
15.
周囲は醜い。自己も醜い。そしてそれを目のあたりに見て生きるのは苦しい
芥川龍之介
16.
強者は道徳を蹂躙するであろう。弱者はまた道徳に愛撫されるであろう。道徳の迫害を受けるものは、常に強弱の中間者である
芥川龍之介
17.
我々に武器を執らしめるものは、いつも敵に対する恐怖である。しかもしばしば実在しない架空の敵に対する恐怖である。
芥川龍之介
18.
人生を幸福にするためには、日常の瑣事を愛さなければならぬ
芥川龍之介
19.
好人物は何よりも先に、天上の神に似たものである。第一に、歓喜を語るに良い。第二に、不平を訴えるのに良い。第三に、いてもいなくても良い
芥川龍之介
20.
私は不幸にも知っている。時には嘘によるほかは語られぬ真実もあることを
芥川龍之介
21.
我々を走らせる軌道は、機関車にはわかっていないように我々自身にもわかっていない。この軌道もおそらくはトンネルや鉄橋に通じていることであろう
芥川龍之介