1.
泣クナ。ミツトモナイゾ。俺ハ笑ツテ居ルノニ。元気デ暮セ。明日ハ征クゾ。
特攻隊員
2.
究、元気カモウ四月カラ二年生ダネ、コンド二年ニナツタラヨク勉強シテ級長ニナレ(中略)勉強ガスンダラ元気デ遊ベ、今度、何先生ニナラウンダ、イマゴロハイツモ何ヲシテ遊ンデイルカ
特攻隊員
3.
愛児よ。若し御許が男子であつたなら御父様に負けない立派な日本人になれ。若し御許が女子であつたなら気だてのやさしい女性になつて呉れ。そして御母様を大切に充分孝養を尽してお呉れ
特攻隊員
4.
今迄お世話になった父母上様を始めとし、上官の方々及周囲の人の御恩で胸が一杯です。どうか大東亜戦争の勝抜く日迄達者でゐて下さい。私も体はなくなつても魂だけは残つて父母上様の元気なお顔を靖国の空より拝見させて戴きます
特攻隊員
5.
想へば生を享けて二十五年、色々と御世話にもなり御心配を御掛けした父母様、兄上様、嫂様、姉様方に厚く厚く御礼を申し上げます。この御恩は今こそ盡忠と共に御返し出来る事と深く深く信じて居ります。
特攻隊員
6.
特別攻撃隊に入隊。南十字星を仰ぎ見ましたから安心してください。しっかりやります。
特攻隊員
7.
大東亜聖戦真只中の南方我等の桧舞台航空決戦渦中に皇軍飛行隊操縦者として参加出来得るは日本男子の本懐なり。神出鬼没を第一とする襲撃隊の操縦者として精魂以て当り、最少限敵を倒さゞれば閻魔王に申開き立たず。
特攻隊員
8.
もうどこからの手紙も入手出来ませんし、便りもしません。風雲の如く、どこへ行つても、どんな状況にたち致つても、とにかく頑張ります。御安心下さい。
特攻隊員
9.
菊水の兵器に乗り、白鉢巻の中に御両親のお写真をひそめ、千人針に胆を締めて、敵撃滅に猛進する小生の姿を御想像になられ、尊継聊か御国の御役に立ち得たる事を喜んでやって下さい。では行きます。
特攻隊員
10.
今、日本を守る最後の切札として出陣するに当つて、日本人として御両親様の倅として誰よりも誇りと喜びを以つて出撃出来る事は私の最高の勝利であると微笑んでゐます。桜が散つたら又お便りします。
特攻隊員
11.
隊長はおろか隊員の全部を失つても私はびくともしません。此処二十日間私はあらゆる逆境を勇敢に受容れて闘つて来ました。私にはどんな逆境も楽しかつたくらいです。生甲斐ある人生とはこの事です。隊長殿の遺骨を抱いて突込みます。
特攻隊員
12.
散りて行く 我が身なりとは 知りながら 蝶ぞ恋しき 春の夕空
特攻隊員
13.
両親を始め祖父母様の御恩は死んでも忘れません。数々の不孝のこと御許し下さい。子としてなすべき事もなさなかったのを残念に存じます。然し私も海軍の戦闘機搭乗員です。郷里の名を汚す様な事は致しません。きっと立派に死んで見せます。
特攻隊員
14.
いざ征かん 南の空の 決戦場 見事轟沈 我体当り
特攻隊員
15.
上空通過、我が家ははっきり見えました。物干し台の上で黒いものが動いている。母さんが見送っているのかと思うと、いかに日本男子と言えどもこの時ばかりは悲しくなって、大声で｢お母さん、お母さん｣と叫び、五月雨のように涙が流れ出ました。
特攻隊員
16.
幸カ不幸カ、今日一日生キ長ラエテ、又ペンヲトルコトニナリマシタ。(略)一人帰ル身ノ辛サ、何トモ言エズ、恥カシクテナリマセンデシタ。会ウ人ゴトニ声ヲカケラレルノガ、身ヲ切ラレルヨウ、マシテ一番機ノコトユエ一層デアリマス。
特攻隊員
17.
永い間の御無音おゆるし下さい。家の方も皆元気で働いてゐる事と拝察致して居ります。六月一日付上等飛行兵になりました。記念写真をお送り致しました。先日送った少々のお金は祐文と英子の誕生祝にやつて下さい。可誠さんにも頼みます。
特攻隊員
18.
人の世の もろき涙を 打捨てて 皇道に狂はん 神のまにまに
特攻隊員
19.
イザ抜キ放ッタル日本刀、怒髪天ヲツキ、神州ノ曙ヲ胸ニ、大元帥陛下ノ万歳ヲ唱ヘテ、全力三十ノット、大型空母ニ体当リ。
特攻隊員
20.
出撃スルモ武運ナリ。一撃千殺ヲ誓ッテ、余等征途ニツクコト四回、人笑フモ良シ。敵ニ会ヘザレバ会フマデ待タウ。必ズヤ好機アルモノト信ズ。七度八度ナリトモ征途ニ上リ、驕敵ヲ撃滅セン。神州護持ノ礎石トナランノミ。
特攻隊員
21.
御人形よ 風鈴よ 鶴よ はるばる遠くの島まで来て呉れて、毎日みんなを慰めて呉れたね。ありが度う。御礼を云ひます。 誰も居なくなつたら、花蓮港の御母さんの処へ帰つて、何時迄も可愛がつて貰ひなさい。さよなら
特攻隊員
