1.
人間は理想が無くっては駄目です
田山花袋
2.
旅はどんなに私に生々としたもの、自由なもの、まことなものを与えたであろうか。旅に出さえすると、私はいつも本当の私となった
田山花袋
3.
いろいろな懊悩、いろいろな煩悶、そういうものに囚(とら)えられると、私はいつもそれを振切って旅へ出た
田山花袋
4.
どんな生活でも新しい生活には意味があり、希望がある。
田山花袋
5.
人間元来一人で生まれて一人で死んでいくのである。大勢の中に混じっていたからって孤独になるのは、わかりきったことだ
田山花袋
6.
感化は書物よりも生きた人より受けたものの方がぐっと大きい。
田山花袋
7.
若い時の墜落はいかようにしても浮かび上がることが出来る。
田山花袋
8.
恋が消えなければ、夫婦の愛情は起こらない。
田山花袋
9.
成功不成功は人格の上に何の価値もない。人は多くそうして標準で価値をつけるが、私はそういう標準よりも理想や趣味で価値をつけるのが本当だと思う。
田山花袋
10.
体が弱くなると、どうしても感情的になる。自分一人の孤独に堪えなくなる。他人にすがるようになる。活発な心境が保てなくなる。
田山花袋
11.
戦場は大いなる牢獄である。いかにもがいても焦っても、この大いなる牢獄から脱することはできぬ。
田山花袋
12.
何でも空想で考えず、物に当たって活発にやるがよい。その時に出てくる知恵は、空想でこねまわしたものより、ぐっと生々(いきいき)している。
田山花袋
13.
世の中は好いが好いじゃない、悪いが悪いじゃない、幸福が幸福じゃない。
田山花袋
14.
毎日掃いても落葉が溜まる。これが取りも直さず人生である。
田山花袋
15.
泣いてもらっても、悲しんでもらっても、慰めてもらっても、要するに、その身は独り死ななければならない。
田山花袋
16.
絶望と悲哀と寂寞(せきばく)とに堪え得るる勇者たれ、運命に従う者を勇者という。
田山花袋
17.
何でも、断定することはいけない。断定した時、そのものは、既に別なものになっている。
田山花袋
18.
(結婚して)半年位経った頃は一番破綻の生じ易い時だという。表には平和を装って居ても、腹ではいろいろな不平が萌(きざ)す。
田山花袋
19.
行く水の流、咲く花の凋落。この自然の底にわだかまれる帝王すべからざる力に触れては、人間ほど儚い情けないものはない。
田山花袋
20.
誰でも顔の中に、その人の生涯が表れて見える。
田山花袋
21.
何事も露骨でなければならん。何事も真想でなければならん。何事も自然でなければならん
田山花袋