1.
絵描きではないにしても、絵への感覚を研ぎ澄ませて「絵がわかる」という状態を持っていれば……「さまざまな才能と組むことができる」のですね。
高畑勲
2.
「あなたは、絵を描かないのに、なぜアニメーション監督をやっているのか?」ぼくは最近いつも、そう聞かれたときには、「ディズニーという人もそうなんです」と答えています。
高畑勲
3.
才能のあるスタッフたちに、自分がわくわくしているイメージやその可能性を話し、ある程度それを思い描いてもらえないと、新しい試みや、特に困難な挑戦にいどんでくれるはずはないですから。
高畑勲
4.
「たくさんの場面の、そのひとつずつの完成後の姿」を思い浮かべる能力というのが、アニメーションの演出には常に求められてきます。
高畑勲
5.
捨てる絵を減らすために、スタッフに描いてもらう絵は、はやい段階でまちがいのない方向へと導かなければならない。それが設計ということで、ぼくらの場合では、できるだけ緻密な「絵コンテ」をつくる。
高畑勲
6.
演出としては最終的な状態を思い浮かべる能力も必要だろうし、ぼくのように絵が描けない演出には、どうしても最初から少数の才能のある人たちに協力してもらわなければなりません。
高畑勲
7.
「どういう状態を思い浮かべるのか、それが成りたつかどうか」をきちんと把握する能力は、ぼくは、かなり重要なのだと思っています。
高畑勲
8.
設計がまずくて、あるいは明確でなかったために、結果がまずいものになったとしてもあとの祭りなんです。
高畑勲
9.
ぼくはやっぱり、具体的なことをちゃんと知ったうえでやりたいと思っているし、「できあがるものの平均値をあげる」ということに力を注ぎたいのです。
高畑勲
10.
抽象的なことを言って、描く人まかせにするという場合には、とてもすばらしいものもそこから出てくるかもしれないけれど「ぜんぜんダメだ」というものになる危険性もあると思っています。
高畑勲
11.
家族も、ことあるごとに、つまらんことで大騒動しますけれど、大騒動や失敗って、あとで思い出すと、たいていおもしろいことですよね。
高畑勲
12.
ぼくは「おもしろいことができそうだ」というのが好きなんです。
高畑勲
13.
これは若い人にはあまり言いたくないのですが、ぼくは遅刻の常習犯だったんです。 それから、会社の中では、けっこう居眠りもしていましたし……。
高畑勲
14.
知的、理性的に何かを掴んだかどうかはあまり問われないんです。
高畑勲
15.
これはぼくが年をとったせいかもしれませんが、客観的に見れば、人間っていうのは、非常に単純なことで満足できるように思います。
高畑勲
16.
あるひとつのことを深く知ったら、他のものを見た場合にも、同じような奥深い様相があるはずだ
高畑勲
17.
「聞いておぼえる」とか「教えてもらえる」ということについては、地位がある人であるほど不利になるわけです。
高畑勲
18.
これは他の分野にも言えることだと思うけど、「どれだけ好奇心を持って、自分で勝手に課題を立てて疑問を持てるかどうか」ですよね。課題や疑問を持つ能力がなかったとしたら、当然、それに伴う問題解決もありえない。
高畑勲
19.
日本文化のおもしろさやすぐれた点を知ると、おそらく放っておいても日本を愛するようになるはずです。
高畑勲
20.
感動というのは、あっという間に雲散霧消してしまう感情を表現しているだけですよね。
高畑勲
21.
自分で描かないという立場であれば、才能を持っている人を自分の色にねじふせて絵を描かせるのではなくて、「その人の絵の才能を発揮してもらう」という方向にもっていけるのではないでしょうか。
高畑勲