1.
汚れるのが厭ならば、生きることをやめなくてはならない。生きているのに汚れていないつもりならば、それは鈍感である。
吉行淳之介
2.
文学というものは、つねに、諸刃の剣のようなもので、相手を刺すことは、同時に自分を刺すことなのだ。
吉行淳之介
3.
虎は死して皮を残し、人は死して名を残す。 保険に入っていれば金を残す。
吉行淳之介
4.
青春の時期は、いつの時代でも恥多く悩ましいものだ。もう一度やれと言われてもお断りしたい。
吉行淳之介
5.
恋愛をして分かることの一つは、時間というものは一定の速度で過ぎていかなければならぬということです。
吉行淳之介
6.
若者にとって、酒は大人への勲章である。
吉行淳之介
7.
男と女が一緒に暮らしてゆくために必要なものは、情熱でもなく、肉でもなく、それは忍耐に違いない
吉行淳之介
8.
少年の頃、激しく傷つくということは、傷つく能力があるから傷つくのであって、その能力の内容と言えば、豊かな感受性と鋭い感覚である
吉行淳之介
9.
権威に弱い、というのは、教養や教育とはあまり関係ないようだ。私の知っているいわゆる食通には、店の名前で食べている男が何人かいる。
吉行淳之介
10.
寿命という言葉は甚(はなは)だ非科学的なものだが、そう考えたほうが生き残った者にとっての精神衛生によい。
吉行淳之介
11.
女性の愛というものは、相手に自分をささげることによって完成され、男性の愛は相手から奪うことによって完成される。
吉行淳之介
12.
失敗を恐れないのが、若者の特権である。醜態を演じるのが若者である、ともいえる。
吉行淳之介
13.
愛することは、この世に自分の分身を持つことである。
吉行淳之介
14.
悲しみに耐えるのはやさしい。感動に耐えるのは、むつかしい
吉行淳之介
15.
私は「孤独」という文字からは、一種の甘ったれを感じ、「純粋」という文字からはいかがわしさを感じる
吉行淳之介
16.
本当の才能というものは、どんなに圧え付けられたって現れ出てくるものだよ。他人の手で、芽を摘み取られるものではないさ
吉行淳之介
17.
外見が美しいというだけで、他人より良い生活ができるのが女の特権である
吉行淳之介
18.
エゴイストでない人間がいたら、お目にかかりたいね。たとえば犠牲的な行動をする人間を突動かしているものも、結局はその人間のエゴイズムだよ
吉行淳之介
19.
他人に親切にしようとおもうときは、それが二倍の大きさになって手痛くハネ返ってくる覚悟が必要だ。
吉行淳之介
20.
「淫靡」ということは大切ですね。これがなくなったら、文化は衰弱するとおもってますよ。
吉行淳之介
21.
誰も劣等感を脱ぎ捨てることはできない。人生はけっして素晴らしいものではないが、どうせ生き続けなければならないのなら、なるべく上等な劣等感を身につけた方がいい。
吉行淳之介