1.
正しい道を選ぶのが、正しい。でも正しい道しか選べなければ、なぜ生きているのかわからない。
綿矢りさ
2.
傷口を見るのが怖いから、絆創膏を貼るんだよ。
綿矢りさ
3.
余り者には余り物がしっくりくるのだ。いじめじゃない、ごく自然なことなんだ。
綿矢りさ
4.
話のネタのために毎日を生きているみたいだった。とにかく”しーん”が怖くて、ボートに浸水してくる冷たい沈黙の水を、つまらない日常の報告で埋めるのに死に物狂いだった。
綿矢りさ
5.
自分の進むまっすぐの道に石ころが落ちていたところで、避けて進めて怪我してなければそれ以上深く考えなくていい。
綿矢りさ
6.
小さなことに全力で喜ぶ訓練を今までちゃんとしてこなかったなと思う。 理由は多々あるだろうが自分にとって一番大きいのは「そんなことで喜んでいいのか」というハングリー精神に似た問いかけがいつもあったせいだ。
綿矢りさ
7.
人にしてほしいことばっかりなんだ。人にやってあげたいことなんか、何一つ思い浮かばないくせに。
綿矢りさ
8.
私は、余り者も嫌だけど、グループはもっと嫌だ。できた瞬間から繕わなければいけない。
綿矢りさ
9.
私は、自分で走りたいと思ったから、走ってるの。
綿矢りさ
10.
同じ机を使っていても向こう岸とこっちでは、こんなにも違う。でも人のいる笑い声ばかりの向こう岸も、またそれはそれで息苦しいのを、私は知っている。
綿矢りさ
11.
私は、見ているようで見ていないのだ。自分の内側ばっかり見ているから、何も覚えていない。学校にいる間は、頭の中でずっと一人でしゃべっているから、外の世界が遠いんだ。
綿矢りさ
12.
私は夏休みを一コマも埋めていない。まっさらのまま横たわる夏休みに、漠然とした不安はある。どこまでも続く暇の砂漠に、私は耐えられるんだろうか。
綿矢りさ
13.
現実では我慢が多いからこそ、小説では突き抜けた生き方を描く
綿矢りさ
14.
人間の心の機微を切り取りたい
綿矢りさ
15.
内向きではなくてもっとオープンで、自分の思うがままにふるまう人を書きたい
綿矢りさ
16.
考えようとしなくても、主人公が勝手にしゃべるんです。特に私がお風呂に入っているときなんかはめちゃくちゃうるさくて、もう黙ってほしいなと思うほど
綿矢りさ
17.
家族でも友情でも恋愛関係でも、またどんな年代でも、女性のことは書きがいがある
綿矢りさ
18.
限界ぎりぎりまで努力してやっと達成したくせに、すぐに顔をきりりとひきしめて“さらに上を目指します”なんて、言葉だけなら志の高い人って感じでかっこいいけれど、もっともっと進化したいなんて実はただの本能なんだから、本能のまま生きすぎで、野蛮です。
綿矢りさ
19.
さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつける
綿矢りさ
20.
今日は実験だから、適当に座って五人で一班を作れ。先生が何の気なしに言った一言のせいで、理科室にはただならぬ緊張が走った。適当に座れと言われて、適当な所に座る子なんて、一人もいないんだ。
綿矢りさ
21.
とことん全部さらけ出せば誰か一人ぐらいは私を理解してかわいそがってくれるのではないかっていう甘えた期待する気持ちが、絶望の底にある。
綿矢りさ