1.
為すべきは人にあり。成るべきは天にあり。
杉田玄白
2.
己上手と思わば、はや下手になるの兆(きざし)としるべし。
杉田玄白
3.
昨日の非は悔恨すべからず。明日、これを念慮すべし。
杉田玄白
4.
明日の是は慮念すべからず。
杉田玄白
5.
壮実を頼んで、房をすごすべからず。
杉田玄白
6.
医の業は習熟に在らざればその妙処は得がたし。此の故に一人にても多く病者を取扱い、功を積みたる上ならでは、練熟することは成り難しと知れり。
杉田玄白
7.
一滴の油、これを広き池水のうちに点ずれば、散じて満池に及ぶとや。
杉田玄白
8.
飲と食とは度を過ごすべからず。
杉田玄白
9.
動作を勤めて、安を好むべからず。
杉田玄白
10.
事なき時は薬を服すべからず。
杉田玄白
11.
五色の糸の乱れしは皆美なるものなれども、赤とか黄なるとか一色に決余はみな切り棄つる心にて思ひ立ちしなり。
杉田玄白
12.
確かに誤訳は多いだろう。だが、不正確な知識によって治療されている医学界の現状では、出版することで助かる命もあるはずだ。
杉田玄白
13.
これ誠に奇遇なりとて、互ひに手をうちて感ぜり。
杉田玄白
14.
良沢と相ともに携へ行きし和蘭図に照らし合せ見しに、一としてその図に聊か(いささか)違ふことなき品々なり。
杉田玄白
15.
正物に非(あら)ざれば、苟(いやしく)も食すべからず。
杉田玄白
16.
右の如く一身の働といたし申し候。形のこざ候ものに候えども、その妙用ござ候こと唐にていう神気などと申すべき物ゆえ、神経と義っかまっり候。
杉田玄白
17.
通詞 (通訳官) たちも、ただオランダ語を片仮名で書き留めておく程度で、口で覚えて通弁の用を足すくらいで年月を経てしまった。 そんなことで、誰一人として、横書きの文字を読み習いたいという人もいなかったということである。
杉田玄白
18.
老木とて油断めさるな返り花。
杉田玄白
19.
「さとうきびを噛むように」面白く、みんなで集まって翻訳に取り掛かることが待ち遠しくなった。
杉田玄白
20.
人はいつ死ぬかわからない。私はもう若くないし、あちこち調子も悪い。のんびりやっていたら、草葉の陰(あの世)で翻訳の完成を見ることになる。
杉田玄白
21.
あちらの国の人にいつわりだまされるようなことがあっても、これを問いただす手段もないことである。
杉田玄白