1.
言葉狩りの横行する世の中こそ、文化は退廃する
野坂昭如(作家)
2.
二度と飢えた子供の顔は見たくない
野坂昭如(作家)
3.
戦争で、最もひどい目に遭うのは、子供たちだ
野坂昭如(作家)
4.
「火垂るの墓」を書くことで、戦争を伝えられるとは思っていなかったし、それは今も同じ。ぼくは未(いま)だに自分が小説家なのかどうか、あやふや。
野坂昭如(作家)
5.
ある日、それまでの生活が断絶された。家族も家も学校も、ぼくの場合、昭和二十年六月五日を境に消えた。混乱しているゆとりもない。今日生きていくのが精一杯(せいいっぱい)。闇市をうろついた。一面の焼け野原から、ぼくらのすべては始まる。
野坂昭如(作家)
6.
小説とは話を大きくする作業だ。どれだけ嘘を大きくふくらませるかにかかっている
野坂昭如(作家)
7.
14歳の少年昭如に会いたい。会って励ましてやりたい。大丈夫だ、生きろ、と
野坂昭如(作家)
8.
つねに奴隷はいるんであって、その奴隷をいかにうまく奴隷的環境に気付かせないか、さまざまの美名のもとに錯覚におとしいれるだけの話
野坂昭如(作家)
9.
大人は頭で考え、子供は肌で感じるもの。現代の子供達はどうも生気が薄いように思える。
野坂昭如(作家)
10.
僕の中に戦争の記憶は如何ともしがたく骨身に絡んでいる。僕はつまるところ、反戦芸人なのだ。心やすまる平和な時代にあってこそ価値がある。しかし、いざ戦争になれば、たちまち旗を振って戦争芸人となるかもしれない。
野坂昭如(作家)
11.
不幸な事態によってしか人間が、知恵を身につけ得ぬとは、まことに悲しいことだが、目先に追われてその日暮らしがかなえば、つい過去を失念し、先行きについても想像力が働かない。
野坂昭如(作家)
12.
飢えた時の人間の姿というのは、筆舌に尽くしがたい。食いものが無くなると、人間が人間でなくなってしまう。ぼくは、そういう地獄図を何度も見てきた。親子であっても、握り飯一つはさんで、本当に殺し合いをする。
野坂昭如(作家)
13.
いじめは卑怯で恥ずかしいことという認識が大人にも子供にもない。
野坂昭如(作家)
14.
子供だからこそ未来を考える。物質面で恵まれながら、精神的に社会や親と離れ離れになったものが多い。大人たちにその認識がない。子供は救われない。
野坂昭如(作家)
15.
挨拶の喪失は、現在の、言葉の衰弱化につながっているような気がする。各国の言葉に精通するのは、まことにけっこうだが、自国語を失ってしまったのでは、いわば台本を棒読みしているようなものじゃないか。
野坂昭如(作家)
16.
人間がどうして、言葉を所有するに至ったか、これまた皆目知らないが、多分「挨拶」が、その根本にあると考える。お互いの意思の疎通をはかるといったって、まず「こんにちは」がなけりゃ無理であろう。
野坂昭如(作家)
17.
ぼくら腹がへった経験からわかっているけれども、食糧だけは北海道で大備蓄されていても、東京なら東京がいざというときにはあまり役立たない。食い物というのは、すぐそばに置いておかないといけない
野坂昭如(作家)
18.
僕は嘘つきである。年中嘘をついて生きてきた。そのため嘘と本当の境目が自分でも危なっかしい
野坂昭如(作家)
19.
文字なり喋ることだけで、何かを伝えるのは難しい。それでもやっぱりぼくは今も戦争にこだわっている。
野坂昭如(作家)
20.
少しは戦争を知っている。飢えも心得ている。あんな馬鹿げたことを、繰り返してはいけない。戦争の愚かしさを伝える義務がある。あれこれあがいた結果、書くことが残った。
野坂昭如(作家)
21.
戦争は人間を人間でなくす。では獣になるのか。これは獣に失礼。獣は意味のない無駄な殺し合いをしない。人間だけが戦争をするのだ。
野坂昭如(作家)



