1.
自分になりきるとは、自分だけの言葉を持つことだ。自分の言葉ばかりで物を言うようになったとき、人ははじめて真の自分を獲得し、自分を全肯定できるのだ。
中野孝次(小説家)
2.
顧みて幸福なる生涯なりき。このことを天に感謝す、わが志・わが思想・わが願いはすべて、わが著作の中にあり。予は喜びも悲しみもすべて文学に託して生きたり。予を偲ぶ者あらば、予が著作を見よ。予に関わりしすべての人に感謝す。さらば。
中野孝次(小説家)
3.
従容として死につく、という言葉あり、人の死の理想たるべし。
中野孝次(小説家)
4.
ふたりが一体となって自分たちだけの歴史をつくっていくとき、その歴史が今度は逆に老年になって夫婦を支えるたしかな基盤になってくる
中野孝次(小説家)
5.
人、死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、日々に楽しまざらんや。
中野孝次(小説家)
6.
いかに頭の働きが早く、人の気を察することに長(た)け、いわゆる切れ者であっても、相手次第でそのつど言うことも行動も変るような奴は、長いあいだにはぜんぜん信用されなくなる。
中野孝次(小説家)
7.
使えば使うほど愛着の出てくる、もはや生活の一部になりきったような物。そういう物たちで成り立つ生活こそ、本当の生活であって、つまりは人生を愛することだ。
中野孝次(小説家)
8.
人は、たとえ愚直であれ、のろまであれ、誠実で変らないのがいい。
中野孝次(小説家)
9.
持つこと(to have)は君自身の本質とはなんの関係もない。 むしろ君が流行に敏感であればあるほど君は外の情報にふりまわされて君を見失い、君の本質から遠ざけられるだけだ。
中野孝次(小説家)
10.
日本にはかつて清貧という美しい思想があった。所有に対する欲望を最小限に制限することで、逆に内的自由を飛躍させるという逆説的な考え方があった。
中野孝次(小説家)
11.
ひとはそれぞれ違う環境に生まれ、異なる資質、性格、才能、顔つき、体型を先天的に与えられる。運命が与えたその条件に文句をつけても始まらないのだ。
中野孝次(小説家)
12.
所有が多ければ多いほど人は心の自由を失うのである。
中野孝次(小説家)
13.
自分を全面的に出して文章を書くとは、敵を作ることでもある。
中野孝次(小説家)
14.
思想とは何よりもまず、自分の頭でものを考え判断する力を持つ、ということだ。
中野孝次(小説家)
15.
本当に人の心にとどくのは、自分が自分だけの頭で考え、感じ、これが真実の声なのだとして発する、そういう声だけである。
中野孝次(小説家)
16.
不平家というのは、最後までその自分の運命を受け入れられなかった人のことだ。
中野孝次(小説家)
17.
ひとはその所与の運命を自分のものとして受け入れなければならず、たとえそれがどんなものであれ、それを最大限に生かしてゆくしかない。自分を受け入れ、そこから出発してゆくしかない。
中野孝次(小説家)
18.
世間ではともすれば、金銀でも持ち物でも多く所有すればするほど人は幸福になると信じているようであるが、これくらい間違った考え方はない。
中野孝次(小説家)
19.
いやなことを堪え忍んで裕福な暮らしをするより、貧しくとも自由を愛する。
中野孝次(小説家)
20.
人間をダメにするのは窮乏よりも過剰である。
中野孝次(小説家)
21.
母親はわが子を、それが利口だとか、美しいとか、活溌(かっぱつ)だとか、なんらかのそういう人にすぐれた美点のゆえに愛するのではない。母はわが子を選んだりはしない。ただそれが自分の子であるという、それだけの理由で、絶対的に、無条件に愛するのだ。ここにあらゆる愛のモデルがある。
中野孝次(小説家)





