1.
なにもないということを素直に認識して、正直にそれをいえば、気もらくになるし、解決の道もひらけようというものです。
幸田文(随筆家)
2.
無い、と有体に正直に早くいってしまえば、たちどころにその一言の“無い”が味方になってくれるのです。
幸田文(随筆家)
3.
一生きょろきょろしていたい
幸田文(随筆家)
4.
台所に立てば、台所が人をみがいてくれる。
幸田文(随筆家)
5.
最初は粗くしか動かなかった心づかいが、やがて細かい心づかいができるようになり、その会得が心を育む。
幸田文(随筆家)
6.
鍋釜や瀬戸ものへのあたりや動きまわる気配(中略)、キュウリをはやすまな板の音などに、立ち居ものごしの優しさがあらわれる
幸田文(随筆家)
7.
不幸を克服するよりも、幸せを上手に扱うほうがむずかしい
幸田文(随筆家)
8.
あまえということは誰しもどこかに持っているらしい。
すなおでなく、ちょっとぎこっとした構えのようなものを持っているのは、強いようにも考えられるがその実あぶなっかしい性格であり、よいほどにすらりとあまえられる人のほうが、不潔なあまえにきぜんたる態度を辞して行かれるのではあるまいか。
幸田文(随筆家)
9.
樹木がひとつ見たいと思いますと、どうしても獣も鳥も、山川の流れている水も、それから山も、その山がどんなふうに崩れるとか、どんなふうに噴火するとかって、ひとりでにつながってきますんでしょ。
それできょろきょろきょろきょろしてね、私本当にきょろきょろして楽しんでますわ。
幸田文(随筆家)
10.
蕾(つぼみ)が花に、芽が葉になろうとするとき、彼らは決して手早く咲き、また伸びようとはしない
幸田文(随筆家)
11.
女性によくいわれる嫉妬も、あまり好ましいものとはいえないが、一面からいえばあれも一種の、なかなかの力だというのです。
幸田文(随筆家)
12.
いらない癖を除去し、そのものだけに与えられているうまみという力を残し、そのうまみを調じて、もう一段上の滋味にまで昇華させる
幸田文(随筆家)
13.
ひとつ楽しみを見つけますとね、ひとつだけで終わりませんの。
幸田文(随筆家)
14.
自分なりに試行錯誤しながら取り組んでいきたい
幸田文(随筆家)
15.
心ざまを丁寧にすることは時間を食う、と思っているのが思いちがいのようだ。しごとと気持とは違う。つねに丁寧な心ざまでいることに特別な時間はいらない。
幸田文(随筆家)
16.
ぎりぎりいっぱいの生活の恐ろしさは物の不足より、むしろすべての不足のバランスが破れるときであって、破れればばらばらに形なしになってしまう可能を含んでいることが恐ろしいのである。
幸田文(随筆家)
17.
金と心は別もの、物質と精神は違うともいうが、かなり潔癖にしていてもわれわれの日常は相当金に腐蝕されている。
幸田文(随筆家)
18.
草の秋は、全力を尽す秋なのだものと思う。全力を尽す姿勢だからきれいだ。
幸田文(随筆家)
19.
若いときは花だけを美しいと思っていた。このごろ、花のまえも花のあともいいと思う。
幸田文(随筆家)
20.
新しい出発は決して楽しいだけのものではない、旧い人の凋落をうしろにのこして行く心。……歩いて行く小路々々も自分も疲労と寂寥(せきりょう)に澱んでいる。一日一日は移って行く。
幸田文(随筆家)
21.
結婚は結婚式といっしょくたにして考えられやすいが、式へこぎつけるまでが容易でない。見合結婚か、恋愛結婚かと、いろいろ論はあっても、要するに、いい結婚がしたいねがいにほかならぬ。
幸田文(随筆家)



