1.
生まれないこと、それを考えただけで、なんという幸福、なんという自由、なんという広やかな空間に恵まれることか!
エミール・シオラン
2.
私の存在は偶然に過ぎない。なぜそんなに全てを深刻にとらえるのか?
エミール・シオラン
3.
私たちはひとつの仕事をもつことを求められている。——まるで生きることがひとつの仕事、それももっとも困難な仕事ではないかのようだ。
エミール・シオラン
4.
悲哀を味わったため、漠然たるその機微に通じようとして、ある人は一秒をかけ、ある人は一生をかける。
エミール・シオラン
5.
人間とは地球の癌だ。
エミール・シオラン
6.
かつて、哲学者がものを書かずに思索にふけっていて軽蔑を受けることはなかった。ひとが有効性の前にひれ伏してこのかた、作品が俗人の絶対となった。作品を製産しない人々は「落伍者」とみなされている。しかし、この「落伍者」が前の時代には賢者なのであった
エミール・シオラン
7.
私は世界に対して戦っているのではない。世界よりはもっと大きな力、つまり世界に対する私自身の疲労と戦っているのだ。
エミール・シオラン
8.
老いとは、要するに生きたことに対する懲罰にほかならぬ。
エミール・シオラン
9.
生れたという屈辱を、いまだに消化しかねている。
エミール・シオラン
10.
われわれが生きて行けるのは、ただわれわれの想像力と記憶力が貧弱だからにすぎない。
エミール・シオラン
11.
責任という問題は、出生以前に私たちが相談を受け、現在ただいまそうあるごとき人間になってよい、と同意したのでなければ、そもそも意味を持ちえないはずである
エミール・シオラン
12.
希望とは未来に対してつく嘘である
エミール・シオラン
13.
生きるとは追いつめられることだ。
エミール・シオラン
14.
何か侮辱を受ける度、仕返しの衝動を一切遠ざけてしまうために、自分が墓穴にしんと納まっているところを想像する。たちまちにして私の心は和んだものである
エミール・シオラン
15.
社会とは番人のいない牢獄なのだ、――ただしそこから逃げ出せば、破滅が待ち構えている。
エミール・シオラン
16.
一般に人間は労働過剰であって、この上さらに人間であり続けることなど不可能だ。
エミール・シオラン
17.
生にはなんの意味もないという事実は、生きる理由の一つになる。唯一の理由にだってなる。
エミール・シオラン
18.
私がこしらえようとしなかった子供たち。もし彼らが、私のおかげで、どんな幸福を手に入れたか知ってくれたなら!
エミール・シオラン
19.
両親とは、いずれも無責任な者か人殺しだ。
エミール・シオラン
20.
同情心があれば、私たちは「人の親」にはなれまい。「人の親」、私の知るもっともむごい言葉。
エミール・シオラン
21.
私は生を嫌っているのでも、死を希っているのでもない。ただ生まれなければよかったのにと思っているだけだ。
エミール・シオラン